sE Electronicsが2022年に発売したUSBコンデンサーマイク「NEOM USB」。発売から4年が経った今も、日本語のレビュー記事はほとんど見当たりません。
私自身は発売直後に購入し、4年間メイン機として使い続けた末に、2台目を買い増したほど気に入っています。それでも「いずれ誰かが詳しいレビューを書くだろう」と先送りしていたのですが、4年経っても出てこないのでようやく自分で書くことにしました。
結論を先に言えば、USBで本格的なコンデンサマイクを探しているなら2万円台で買える選択肢として「NEOM USB」がほぼ一択です。
こんな人に向いています
- 声や楽器の高音質な録音をする人
- 機材を最小限にしたい人
- 宅録だけでなく別の環境でも録音する人
- 他と違うガジェットを持ちたい人
癖のない音質と低ノイズ
「NEOM USB」のサウンドは、バランスの良さが最大の魅力です。 コンデンサマイクらしい音の温かみを残しつつ、高音域の明瞭さも両立しています。
柔らかい声質を録音すると、温もりは保ちながらもエッジが丸まりすぎず、輪郭がしっかり残った耳あたりの良いサウンドに仕上がります。
男性の場合、少しハキハキと話すとエッジが良い感じに立ち、音の太さも相まって良い感じに録音できます。低音は過度に強調されるわけではなく、適度に収録されている印象です。
公式の周波数特性図を見ると高音域を少し強調しているので、女性のボーカル音源も綺麗に録音できるかと思います。
最後に環境音だけを録音しました。コンデンサマイクなので周囲の音は神経質に拾いますが、マイク自体から発生するノイズはほとんどありません。
USBマイクだと「声は綺麗に取れたんだけどノイズがどうしても残る」という経験が何度もあります。「NEOM USB」ではその心配がほとんどなく、録音後の加工も簡単に済みます。
【録音環境について】
Windowsのパソコンで録音環境の「NEOM USB」のビットレートとサンプリングレートを最大解像度の24bit / 192kHzに設定。入力レベルは50。録音ソフトAudacityで最大解像度に合わせてwavで出力しています。音質やノイズに関わる加工はしていません。
めちゃくちゃ扱いやすいボタン配置
「NEOM USB」で気に入っているのが本体に並ぶ物理ボタンです。 USBマイクはオーディオインターフェースの役割も兼ねるため、 物理ボタンの扱いやすさが使用頻度を大きく左右します。

ゲイン・マイクレベル・接続先音声のボリュームが横並びに配置されており、直感的に入出力を調整できます。最初こそどれが何のノブか迷いますが、すべて物理操作で完結するため触っているうちに自然と手が覚えます。


ゲインボタンの周りには入力する音量が適正かどうか簡単に確認できるライトも仕込まれています。ライトが赤色にならず緑色になるように、ゲインの調整やマイクとの距離感を調整できます。


ミュートボタンもロゴに合わせて大きく配置されており、即座に押せるようになっています。
USBマイクによっては物理ボタンが少なかったり、触っていても操作しづらかったりします。「NEOM USB」なら端末上である程度の調整ができてしまうので、接続する端末がパソコンでもスマホでも気軽に録音が楽しめるのです。
所有欲を満たす高級感のある本体
「NEOM USB」の本体は、ボタンとロゴ以外がすべて金属でできており、価格以上の高級感があります。実際に手に取ると、ずっしりした重量感とパーツの合わせの精度が安っぽさを一切感じさせません。



マイクのグリル部分も複雑なカーブを描いていながら指で押し込んでも凹んだりしない頑丈さがあります。奥に薄っすら見える赤い風防と相まってデザインも凝っています。

ボタンとロゴはプラスチックですが使用に耐えられる剛性感を感じます。ロゴの色味だけがシールっぽい光沢と質感で安っぽさを感じなくもありません。
「NEOM USB」はどこを触ってもガタつくことがなく、デザインも一貫しています。「良いものを持っているな」という所有感を満たしてくれるUSBマイクに仕上がっています。
唯一の弱点は純正スタンド(解決策あり)
スタンドだけが「NEOM USB」の不満点です。スタンドが付いているだけありがたいと思うのですが、様々なシーンで使うことを想定したUSBマイクではスタンドの使い勝手は気になるところ。

「NEOM USB」のスタンドは、マイククリップと幅広のベース部から成るシンプルな構成。ベース部分は金属製で剛性は十分です。
配信や通話であれば問題ないのですが、録音のようにマイクとの距離を正確に固定したい場合には高さが足りません。スタンドとクリップの間に高さを調節できるような機構がないため、スタンドの下に箱を置いたりして高さを確保する必要があります。

私の場合はCLASSIC PROの卓上マイクスタンドを取り付けて録音しています。純正スタンドより場所を取ってしまいますが、正確に録音したい場合には重宝しています。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / MSTB 卓上マイクスタンドNEOM USBの基本スペック
| 発売日 | 2022年4月 |
| 周波数特性 | 20Hz – 20kHz |
| 最大解像度 | 最大24bit / 192kHz |
| 対応サンプリングレート | 44.1 / 48 / 88.2 / 96 / 176.4 / 192 kHz |
| 本体への接続端子 | USB-C |
| 主な機能 | ・ゼロレイテンシー・ヘッドホン出力 ・独立したゲイン / モニタリングボリューム調整 ・ミュートボタン |
| 付属品 | デスクトップスタンド、マイククリップ、USB-C to USB-Aケーブル |
| 対応する端末(OS) | Windows、Mac、Android、iOS |
| メーカー希望価格 | 27,000円 |
スペック面ではUSBマイクとして文句なしの構成です。
解像度は最大24bit/192kHzと十分高水準ですが、近年は32bit floatに 対応する機種も登場しているため、数値だけ見れば突出した存在では ありません。ただし音のキャラクターは数値で測れる領域ではないので、スペック表はあくまで参考程度にどうぞ。

対応端末はパソコン・スマホに対応しています。スマホではUSB-C接続のiPhoneとLightningケーブル対応のiPhoneで接続を確認しています。
ただし、手持ちの汎用USB-Cケーブルでは通電しないケースがありました。 スマホ接続時は付属ケーブルをベースに、USB-Aを変換するアダプタを 噛ませる運用が確実です。
弱点がほぼないNEOM USB
スタンド以外に、これといった弱点が見当たらないのが「NEOM USB」です。 そのスタンドにしても、別売品を組み合わせればすぐに解決できます。
これまで使ってきたUSBマイクは、音・操作感・本体の質感など、どこかで妥協が必要でした。長く愛用したいと思える一台になかなか出会えなかったというのが正直な感想です。
冒頭でも触れた通り、私は「NEOM USB」を2台購入しています。他のUSBマイクと比較しても、価格に対する完成度が頭一つ抜けているからです。
USBマイクで2万円超えは決して安くありません。それでも「気がつけば一番手が伸びる相棒」として、価格以上の価値を返してくれる一台です。